あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
普段の由希子の明るい声とは打って変わって、低くて冷たい声が真っ直ぐに届いた。
ピシャリとこの場の空気が凍つく。
「和泉さ、あたしが北ヶ瀬さんのこと狙うって言ったの覚えてるよね?」
「……うん」
「そのとき和泉、北ヶ瀬さんとは友達だから何もいう権利なんかないって言ったよね?」
「そう、だね」
「でもさ、ただの友達がこんなに甲斐甲斐しく看病なんてする?」
「……っ」
「どうみても友達以上の関係としか思えないんだけど」
由希子の淡々とした言葉が、私に鋭く突き刺さる。
その通りだ。こんなの、誰が聞いたってただの友達とは思わないだろう。
「ごめん、由希子……」
「ごめん、じゃなくて和泉の本心を聞かせてよ」
私の、本心──。
いつもの私なら、ここまで言われても北ヶ瀬さんとは友達だと言い張っていたと思う。
でも、もうそんなふうに誤魔化せない。
だって私は、気づいてしまったから──……。
「私、北ヶ瀬さんのこと──友達以上だって、思ってる……かも」
ポツリと呟くようにこぼれ落ちた言葉に、里英と由希子がピタリと動きを止める。
「で、でも、まだ自分でも全然分からないの!」
「は?」
「だって、もう恋愛なんてしないって決めてたしね!?一生独身で、これから一人で気楽に生きていくんだって思っていたのに、まさか……こんなことになるとは、私自身も予想外というか」
「……」
「本当、矛盾してるよね……ごめん」