あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
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「高野それ、どうしたんだよ」
年が明けて、初めての出勤日。
電車通勤の私はこの忌々しいギプスをどうにか隠そうと、コートを肩にかけるように羽織ってどうにか会社まで辿り着くことができた。
利き腕が使えない生活は今でも慣れなくて、自分のデスクについてぎこちなくそれを脱いでいた時、ちょうど同じタイミングでやってきた白石は、私を見るなり目を大きくして驚いた表情を浮かべた。
「いやぁ、ちょっとね。大晦日に派手に転んじゃってさ、それでポキッといっちゃって」
「まじで?なんで知らせねぇんだよ」
「いやいや、骨折しました報告なんて恥ずかしすぎるでしょ。……あ、それより明けましておめでとう」
「恥ずかしいことないだろ別に。それとあけおめ」
部署内で新年の挨拶もそこそこに、さっそく私は連休中に溜まっていた大量のメールを返信していく。
年明けの仕事量は、毎年のことながら異常事態だ。
まるで連休の代償と言わんばかりに、部署内の誰もが顔を引き攣らせながらパソコンに齧り付いていた。
「(それにしても片手でタイピングって、思った以上に厄介かも……仕事が全然進まないし)」
あのとき夜間の救急外来で診てもらったお医者さんには、だいたい一ヶ月もすればギプスは取り外せると言われた。
とはいえ、それまでメール返信もままならないどころか、取引先への提案資料をファイリングするだけでもかなりの時間を要してしまう。
これから大型プロジェクトだって本格的に始動するというのに、私、ちゃんとやっていけるのだろうか。
「それ、ファイリングしてやるからそこ置いといて」
「白石?え、いやいや大丈夫!自分の仕事があるでしょ?」