無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜
9思いを重ねて

私たちはそれから、湊さんの家で一緒に暮らし始めた。

近いうちに自分の部屋は引き払う予定だ。
仕事にも復帰し、また忙しい日々が戻ってきた。

竹田主任はその後ちゃんと仕事に出てきていた。
「事件のことを知っているのに今更だけれども」と言いつつも改めて私に告白をし、「これからも良き仕事の仲間として子どもたちと向き合ってほしい」と伝えてくれた。
私はもちろん応じ、以前にも増して仕事に責任をもって打ち込んでいる。

小林さんはすべてを洗いざらい打ち明け、すっかり観念しているとのことだった。
今は弁護士を挟んでの協議が進んでいる。
彼女から受けた言葉で成長することができたけれども、やはり心の傷は残っていた。
でも前を向くしかない。彼女を慕っていた子どもたちが寂しい思いをしないためにも、頑張ることで乗り切ろうと思っている。

本当の意味で交際が始まった私と湊さんは、お互いの時間を大切にするようになっていた。
どちらかが先に帰れば料理を作り、後片付けは二人でおこない、少しでも一緒に過ごす時間を増やしていった。

そんな生活が始まって最初の週末の今日は、二人でデートとしようと決めていた。
目的があるものじゃなくて、春の訪れを楽しむおでかけデートだ。

以前行った界隈をまた歩いた。
今では湊さんもすっかりお料理好きになったので、無農薬野菜がならぶマルシェ風のお店を訪れるのも楽しかった。

「わぁ……大きな茄子ですね」
「京野菜かな。うまそうだな」
「味噌田楽で食べるのはどうですか?」
「いいな。作ってみようか」
「食べたいっ」

思わず弾んだ声が出てしまう。
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