無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜
「……じゃあこれからは、もう少し君との距離を縮めてもいいのか?」
「はい、大丈夫です。その方が湊さんも生活しやすいでしょうし」

どうやら彼女は『距離』の意味を履き違えているらしい。
けれども俺はこれ以上の説明はしなかった。

先ほど抱きとめた彼女の存在が、ありありと腕に甦っていた。
あの重みとぬくもりを求めるために、どんどん『距離』を縮めていきたい。

食後の会話は楽しく弾んだ。
千沙さんが保育園での子どもたちの様子を話して、俺も署であった当たり障りのない笑い話を披露する。
刑事さんでもそんな可笑しなことをするんですねと涙をにじませて面白がってくれる彼女の笑顔は、最高に愛らしかった。

だが、俺たちの幸せな時間は、ここまでだった。




次の日は千沙さんと退勤時間が重なったため、俺は定時で上がると彼女を迎えに行った。
今夜は一緒に料理を作ることにしたので、スーパーで軽く買い物をして帰路につく。

部屋の前にたどり着いたとたん、思わず身が凍りついた。
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