無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜
こんな人と付き合っているなんて、いまだに現実感がない。
周囲から見たら、私なんて恋人というより妹みたいに見えているかもしれない。
その方が、気が楽かも――でも残念にも思う。

そんな複雑な心と向き合っていると、ふと今まで以上に人の波が増えていることに気づいた。

どうやら、イベントが行われているらしい。
少し先に、特設ステージが見えた。
テレビで見たことのある芸能人が、アナウンサーと談笑している。
このエリアに店舗を構えるメーカーの新作発表イベントのようだ。
若い女性が多く、あたりは少し浮き立った空気に包まれている。
背の低い私がこの人混みに入ったら、すぐに湊さんとはぐれてしまいかもしれない。

不意に、手を包み込まれた。
温かくて、大きな手。
湊さんが、私の手を握っていた。

驚いて見上げると、彼は柔らかく微笑む。

「はぐれるといけないから。……嫌?」

思わず、ぶるぶると首を横に振る。
湊さんは穏やかに目を細めると、指先に少し力を込めた。
胸が、きゅっとなった。

まずはキッチン用品を買いに行くことになった。
専門店に入ると、男性用のエプロンもすぐに見つかる。
機能性重視のものから、デザイン性の高いものまで種類は豊富だった。
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