推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜
第4章 帰ってくる場所
Shorelineのメンバー蓮の元へ訃報が届いたのは、新曲のMV撮影中だった。
蓮は電話を切ったあと、しばらく黙って立ち尽くしていた。
柊も、夏も、何も聞かなくても察してしまう空気だった。
「……じいちゃんが、亡くなった」
短くそう言った蓮の声は、震えていなかった。
でも、その一言だけで十分だった。
灯里はすぐに頭を切り替えた。
今日以降のMV撮影スケジュール。
すべてを洗い直し、調整し、連絡を回す。
多忙な三人が、迷わず蓮の祖父の葬儀に参加できるように。
ーー数日後。
黒いスーツに身を包んだ Shoreline の三人は、揃って葬儀に参列した。灯里が社用車を運転して三人をここまで連れてきた。
地方の小さな斎場。
潮の匂いが、どこか残る街だった。
「よく来てくれたねえ……」
祖母は、泣き笑いの顔で三人を迎えた。
蓮は静かに涙を流した。
柊と夏は蓮の隣にそっと立つ。
灯里も3人の後ろに立ち、静かに蓮の祖母へ礼をした。