推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜
通夜が終わり、親族が少しずつ帰り始めた頃。
「……ばあちゃん、今日は俺、泊まってく」
蓮がそう言うと、祖母は一瞬驚いた顔をしてから、柔らかく笑った。
「無理せんでよかよ」
「無理してねぇって」
その言葉に、柊も続く。
「……僕も泊まる」
祖母は、何度も頷いた。
「すみません……
夏さん、明日の朝から仕事が入っていて……」
灯里は申し訳なさそうに言った。
夏もきっとまだ離れたくないはずだ……。夏はバンドの顔であり、作詞作曲もしているので、他のメンバーと比較して個人の仕事がやはり多くなってしまうのだ。
祖母は首を振った。
「いいのよ。
あんたたちが活躍しとるのを見るのが、生き甲斐なんだから」
夏は小さく頭を下げた。
「……悪いな。また近いうちに絶対来るから」
「ありがとう、夏。気ぃつけて帰りんしゃい」
灯里も、深く礼をした。