推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜
「……どうかな」
「ショア……?」
蓮が首を傾げる。
「え?なにそれ。
なんかの呪文?」
「ちょっと」
柊が吹き出す。
「海岸線って意味だよ」
そう言って、夏が足元に目を向けた。
「ここっぽいじゃん」
「……あー」
蓮は、しばらく海を見つめてから、ゆっくり頷く。
「そういうことか」
もう一度、噛みしめるように。
「……いいじゃん」
蓮は、夏の方を見る。
「帰ってくる場所、って感じ」
柊も小さく笑った。
「うん。
どこ行っても、ここに戻ってくるみたいでさ」
蓮が言う。
「どんだけ変わってもさ」
波の音。
「俺らの帰ってくる場所、
ここだよな?」
夏は、少しだけ驚いたように二人を見て、
それから、静かに頷いた。
「……うん」
短く。
「ここでいい」
その夏、
夏は本格的に自分たちのバンドの曲を書き始めた。