ツンデレイケメン海賊王と甘くて危険な大航海〜A sweet and dangerous voyage〜
導きの声
「ラララ〜、ラララララ〜」
美しい晴天の青空が広がる港町サファニーブ。
多くの人々が集まっている大広場では、
ブロンドのおさげヘアがとてもよく似合い、美しい声と容姿をもったリオナが、
舞台上でハープを奏でながら美声を響かせていた。
老若男女問わず、観客全員がうっとりとした表情でリオナの歌声に聴き入っている。
どんな人の心もあっという間に魅力にしてしまう程透き通るような美声を持つリオナは、
ザ・フランセスという名だたる旅芸人一座の座員であり、
かつ世間からは美女の歌姫と呼ばれていた。
そんなリオナのことを知らない者はほとんどいない。
「リオナちゃん!最高ー!」
「可愛いー!」
「アンコール!」
その後、出番を終えたリオナが休憩で楽屋に戻ると、
最初に声をかけてきてくれたのは、
ザ・フランセスの女団長であるセーラだった。
高身長でモデルのようなすらっとした体型に、
赤毛のストレートロングヘアーが彼女の特徴と言える。
「リオナ、お疲れ様。
相変わらず、今日もあなたが一番のアイドルさんだったわね」
「セーラさん、ありがとうございます。
そうですかね?恥ずかしい」
「照れることじゃないわ。
本当のことだもの。
リオナの歌声は、天使のような歌声だからね。本当にリオナはあたし達のマドンナだわ」
「恐れ入ります」
「リオナ、あなたがうちに来て半年が経つけど、あたし達との生活は慣れた?」
「はい、お陰様で慣れました。
セーラさんはもちろんのこと、
皆さん優しいですし。
お気遣いありがとうございます」
「それなら良かった。
ここ⋯ ザ・フランセスは、あなたの居場所だから。
リオナとはまだたった6ヶ月の付き合いだけど、あたし達のことを本当の家族だと思ってくれていいんだからね」
生まれた時から両親がいなかったリオナは、
フレンタールという小さな商業町の孤児院で育った。
リオナを世話した孤児院のスタッフによると、
フレンタールの海岸の波打ち際に、
すやすやと寝息を立てた女の子の赤ん坊が、
布にくるまれ置き去りにされていたと言う。
それがリオナだった。
それも、
産まれたばかりだからなのか、
衣類は身につけておらず裸で、
身につけていたのはシルバーの光沢が美しい三日月形のネックレスのみだったとのこと。
孤児院はそのネックレスを頼りにリオナの両親を探すが、
親族すら見つからない為、
名をリオナと名付け、
成人する年齢まで大切に育て上げたのだ。
そして、
幼少期から既に歌を歌うことやハープを弾くことが好きだったリオナは、
孤児院が開く小さな音楽会でハープを弾きながら自身の歌を披露した。
その時、
セーラがたまたまその音楽会に居合わせており、
リオナの美しい美声と容姿に惹かれ、
スカウトしたというわけである。
「セーラさん、本当にありがとうございます」
「いいのよいいのよ。
ほら、沢山歌ってお腹空いたでしょ?お昼休憩に行っておいで」
「はい、ありがとうございます。行ってきます」
なるべく人目につかないようにスカーフで顔周りを隠したリオナは、
楽屋の裏口から町へと繰り出すと、
早速うーんと大きく伸びをしていた。
「活気があって潮風も気持ちいいし、素敵な町ね。
さて、
今日はどこでお昼ご飯食べようかな?」
リオナが格闘技場広場の近くを通りかかった時だった。
ワーワー!とした大きな盛り上がりの声が聞こえてきたのは。
「いいぞー!兄ちゃん!」
「やったれ!やったれーい!」
「ヒューヒュー!」
格闘技大会でも行われているのだろうか。
観客達が集まり、広場の中央のリングを囲んで声援を送っているのだ。
(何々?何かのイベントかしら?)
リングの方へと近づき、観客達の間から顔を覗かせてみると、
格闘技大会ではなく、剣技を披露する腕試し大会のようだった。
美しい晴天の青空が広がる港町サファニーブ。
多くの人々が集まっている大広場では、
ブロンドのおさげヘアがとてもよく似合い、美しい声と容姿をもったリオナが、
舞台上でハープを奏でながら美声を響かせていた。
老若男女問わず、観客全員がうっとりとした表情でリオナの歌声に聴き入っている。
どんな人の心もあっという間に魅力にしてしまう程透き通るような美声を持つリオナは、
ザ・フランセスという名だたる旅芸人一座の座員であり、
かつ世間からは美女の歌姫と呼ばれていた。
そんなリオナのことを知らない者はほとんどいない。
「リオナちゃん!最高ー!」
「可愛いー!」
「アンコール!」
その後、出番を終えたリオナが休憩で楽屋に戻ると、
最初に声をかけてきてくれたのは、
ザ・フランセスの女団長であるセーラだった。
高身長でモデルのようなすらっとした体型に、
赤毛のストレートロングヘアーが彼女の特徴と言える。
「リオナ、お疲れ様。
相変わらず、今日もあなたが一番のアイドルさんだったわね」
「セーラさん、ありがとうございます。
そうですかね?恥ずかしい」
「照れることじゃないわ。
本当のことだもの。
リオナの歌声は、天使のような歌声だからね。本当にリオナはあたし達のマドンナだわ」
「恐れ入ります」
「リオナ、あなたがうちに来て半年が経つけど、あたし達との生活は慣れた?」
「はい、お陰様で慣れました。
セーラさんはもちろんのこと、
皆さん優しいですし。
お気遣いありがとうございます」
「それなら良かった。
ここ⋯ ザ・フランセスは、あなたの居場所だから。
リオナとはまだたった6ヶ月の付き合いだけど、あたし達のことを本当の家族だと思ってくれていいんだからね」
生まれた時から両親がいなかったリオナは、
フレンタールという小さな商業町の孤児院で育った。
リオナを世話した孤児院のスタッフによると、
フレンタールの海岸の波打ち際に、
すやすやと寝息を立てた女の子の赤ん坊が、
布にくるまれ置き去りにされていたと言う。
それがリオナだった。
それも、
産まれたばかりだからなのか、
衣類は身につけておらず裸で、
身につけていたのはシルバーの光沢が美しい三日月形のネックレスのみだったとのこと。
孤児院はそのネックレスを頼りにリオナの両親を探すが、
親族すら見つからない為、
名をリオナと名付け、
成人する年齢まで大切に育て上げたのだ。
そして、
幼少期から既に歌を歌うことやハープを弾くことが好きだったリオナは、
孤児院が開く小さな音楽会でハープを弾きながら自身の歌を披露した。
その時、
セーラがたまたまその音楽会に居合わせており、
リオナの美しい美声と容姿に惹かれ、
スカウトしたというわけである。
「セーラさん、本当にありがとうございます」
「いいのよいいのよ。
ほら、沢山歌ってお腹空いたでしょ?お昼休憩に行っておいで」
「はい、ありがとうございます。行ってきます」
なるべく人目につかないようにスカーフで顔周りを隠したリオナは、
楽屋の裏口から町へと繰り出すと、
早速うーんと大きく伸びをしていた。
「活気があって潮風も気持ちいいし、素敵な町ね。
さて、
今日はどこでお昼ご飯食べようかな?」
リオナが格闘技場広場の近くを通りかかった時だった。
ワーワー!とした大きな盛り上がりの声が聞こえてきたのは。
「いいぞー!兄ちゃん!」
「やったれ!やったれーい!」
「ヒューヒュー!」
格闘技大会でも行われているのだろうか。
観客達が集まり、広場の中央のリングを囲んで声援を送っているのだ。
(何々?何かのイベントかしら?)
リングの方へと近づき、観客達の間から顔を覗かせてみると、
格闘技大会ではなく、剣技を披露する腕試し大会のようだった。