王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜

今夜は水曜日、そして時間はまもなく23時──。

いつもなら美弥と夫婦の時間を楽しんでいるところだが、今日は違う。安堂不動産が定休日であることから、久しぶりに麗夜が英玲奈を連れて我が家に遊びに来ているのだ。

颯斗も美優も意外にも麗夜と英玲奈に懐いており、かなりはしゃいでいたため、風呂にいれるとすぐに寝てしまった。

(寝てから二時間か)

俺はリビングから足音を立てないよう注意しながら子供部屋にやってくると、ベッドで眠る我が子たちを見つめる。

(よしよし、みんな寝てるな)

父親になってから俺は子供たちとミャーの寝顔を見るのが日課であり、幸せを感じる時間にもなっている。

(颯斗、また身長のびたよな)

(美優の寝顔は美弥そっくりだし)

(ミャーはいびきかいてるし)

美弥と一緒に子供たちの成長を見守り、ミャーに癒される日々は愛おしいという言葉だけでは到底足りない。

「いい夢みろよ」

俺は寝息を立てている双子の頭をそっと撫でる。そして双子を守るようにして同じく眠っているミャーの額も撫でてから、静かにリビングに戻った。

リビングの扉を開ければ、すぐに楽しげな声が聞こえてくる。

「あ! 美弥ちゃん。今度、英玲奈おすすめのイタリアン行こ〜」

「いいの? 英玲奈さんの連れて行ってくれるお店いつも楽しみなの」

俺は二人で紅茶を飲みながら談笑している様子に口元を緩めた。


(すっかり仲良しだな)

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