詩音と海と温かいもの
「ご迷惑をおかけしました……!」
「全然。こっちこそごめんね。痛いところとかない?」
「はい、大丈夫です」
カフェの奥まった席に案内されて、私は頭を下げた。
匠海さんは笑顔でメニューを広げて、私に向けてくれる。
「何がいい?」
「あ、えっと……コーヒーで」
「ケーキセットあるよ」
「あの、でも」
つい遠慮したら、匠海さんがニヤッと笑った。その顔が友達にそっくりで、また泣きたくなった。
「俺、この春から調理とか栄養とかの大学に入るんだ。だから、いろんな店でいろいろ見てみたくてさ。試食するから、付き合って」
「……えっと、じゃあイチゴのタルト食べたいです」
「おっけー。俺はチョコレートケーキにしよ。あとさ、俺まだ昼食ってねえんだ。食べていい?」
私が頷くと、匠海さんは楽しそうにメニューをめくり始めた。
店員さんにあれこれ頼んでメニューを片付けたあと、匠海さんが改めて私を見た。
「詩音ちゃんの中学ってこの辺だっけ」
「はい、山の上です」
「すげー、めっちゃお嬢様学校じゃん」
「そうなのかな。全寮制だから選んだだけで……」
「今は? 春休み?」
「はい。……実家に、帰らないといけなくて」
「あ、そうなんだ。ごめん、引き留めちゃって。俺も家に帰るとこだったんだ。家からここまで微妙に遠いだろ? だから部屋借りて、さっき契約してきたんだ。んで、来週この辺に引っ越すから、また飯食うの付き合って」
匠海さんはニコニコと私を見ていた。
「全然。こっちこそごめんね。痛いところとかない?」
「はい、大丈夫です」
カフェの奥まった席に案内されて、私は頭を下げた。
匠海さんは笑顔でメニューを広げて、私に向けてくれる。
「何がいい?」
「あ、えっと……コーヒーで」
「ケーキセットあるよ」
「あの、でも」
つい遠慮したら、匠海さんがニヤッと笑った。その顔が友達にそっくりで、また泣きたくなった。
「俺、この春から調理とか栄養とかの大学に入るんだ。だから、いろんな店でいろいろ見てみたくてさ。試食するから、付き合って」
「……えっと、じゃあイチゴのタルト食べたいです」
「おっけー。俺はチョコレートケーキにしよ。あとさ、俺まだ昼食ってねえんだ。食べていい?」
私が頷くと、匠海さんは楽しそうにメニューをめくり始めた。
店員さんにあれこれ頼んでメニューを片付けたあと、匠海さんが改めて私を見た。
「詩音ちゃんの中学ってこの辺だっけ」
「はい、山の上です」
「すげー、めっちゃお嬢様学校じゃん」
「そうなのかな。全寮制だから選んだだけで……」
「今は? 春休み?」
「はい。……実家に、帰らないといけなくて」
「あ、そうなんだ。ごめん、引き留めちゃって。俺も家に帰るとこだったんだ。家からここまで微妙に遠いだろ? だから部屋借りて、さっき契約してきたんだ。んで、来週この辺に引っ越すから、また飯食うの付き合って」
匠海さんはニコニコと私を見ていた。