ユーレイくんとの恋はあぶない秘密が多すぎる
○放課後・登校口
結歌「……なんだか疲れた。今日はもう帰って寝たいけどバイトがあるしなぁ。……ん?」
早く帰ろうと靴を履く結歌だったが、ふと校舎の裏側から話し声が聞こえてきて覗く。
そこにいたのは嶺とめちゃくちゃ美人だと騒がれている後輩の女の子――灰谷|叶愛とあ》だった。
叶愛「嶺先~輩。先輩がzeroだったっていうウワサはやっぱり本当だったんですね! 私、ずっと好きで応援していたんですよぉ。っていうか嶺先輩、彼女いるって聞きましたけどぉ、本当なんですかぁ?」
嶺「だったらなに?」
叶愛「やっぱりそうなんだぁ。佐々良先輩、でしたっけぇ? 元気系の子だったと思うけど、融通もきかなさそうだしぃ、遊びなら向いていないんじゃない? 胸もなかったし」
叶愛は嶺の腕に抱き着き、胸を押し付ける。
叶愛「ねえ、叶愛にしておきなよぉ。私ちゃんと胸あるしぃ、zero先輩のためならサービスだってしますよぉ?」
結歌(なんかすんごい言われようなんだけど!?)
なんでそんな風に言われないといけないんだと思い、文句を言おうと出て行こうとする。が嶺がピシャリと言い放った言葉で止まる。
嶺「オレ、結歌ちゃんにしか興味ないから」
まるで叶愛が見えていないように言い放つ嶺にドキリと心臓がなる。
変に固まった状態でいると、嶺と目が合ってしまった。途端に表情が明るくなった嶺は、叶愛の腕を振り払い犬のように駆けてくる。
嶺「結歌ちゃん! 何してるの? 今帰り? 一緒に帰ろ?」
結歌「え、っちょ、ちょっと。あの子、いいの!?」
嶺「いいのいいの。ほら、早く行こう!」
叶愛から結歌を隠すように立ちふさがる嶺の圧に負け、その場を後にする二人。叶愛はそんな二人をジッと見つめ、ギリっと奥歯をかみ締める。
叶愛「……許さない」