ユーレイくんとの恋はあぶない秘密が多すぎる


 ○収録中


 嶺「こんばんは、zeroです。最近、いろんな書き込みがされているみたいなので、今日はそのお話をしようと思います。まず――」


 嶺が撮影しているのを枠外から見ている結歌。



 結歌(……やっぱり慣れているんだなぁ)


 モノローグ:今あのカメラの先で多くの人に見られている。それなのに嶺くんは動じた様子もない。さすがは凄腕ワイチューバーといったところだ。


 結歌(あたしはうまくできるかなぁ……)


 心配する結歌。そんな結歌の緊張をほぐそうと思った嶺はふっと笑って結歌へ視線を送る。


 嶺「オレには大切な人がいます。その人はもともと、オレが歌を歌い始めた理由をくれた人で、最愛の人です」
 結歌「!」


 結歌(……最愛の人)


 熱い視線と不意打ちの言葉で緊張よりも恥ずかしくなってくる。その間も続ける嶺。


 嶺「その人がいなければオレはもうこの世にいないでしょう。そしてつい最近、もう二度と会えないと思っていたその人に巡り合いました。オレは何も考えずその人と関わってしまった。迷惑がかかってしまうかもしれないとも考えなかった。その結果が……」


 モノローグ:嶺くんは灰谷さんの名は出さずに、何があったのかを語った。


 嶺「……オレは彼女が危険にさらされたら、守るためになんでもします。昔救ってくれたように、今度はオレが守る。だから彼女を攻撃する人がいたら容赦しません。それを『危ないやつ』だと言うのなら、そう言ってもらって構わない。そんな危ないやつの歌を聞きにくる必要もない。好きに離れてくれればいいよ」


 モノローグ:そう締めくくると、コメント欄は概ね「命の恩人なら仕方がない」「いうことをビシッと言えるの男らしいい」と言うような肯定的なものが流れていく。


 嶺「――ということで、今日は皆さんに、そんな彼女……サラサラチャンネルのyukaさんに来てもらっています!」


 コメントで「なんで?」「脈絡どこいった?」と困惑した様子のリスナーがあふれる。


 結歌も(嶺くんの思考回路にはそういう反応になるよね……)と苦笑いをして画面に入っていく。いつの間にか緊張は解けていた。



 結歌「こ、こんばんは。ご紹介に預かりました、yukaと申します。あの……まずはお詫びを申し上げます。あたしがうかつだったためにいらぬ騒動を巻き起こしてしまって……」
 嶺「yukaちゃんが気にすることじゃないでしょ。それにこんな不確かな情報で離れていく奴なら別にいらないし。オレはキミのことが何より大切なんだから……」
 結歌「っ!」


 赤面して口をパクパクする結歌。黙ってしまうと嶺が進行役をしだす。


 嶺「えっとですね、なんで来てもらったかというと、彼女の歌を皆に聞いてほしかったからです。オレは彼女の歌があったから生きてこれた。親に捨てられたときも彼女の歌を聞いたら大丈夫だと思えた。彼女の歌にはそんな力がある。皆にも知ってほしい」
 結歌「待って!? そんなにハードル上げないで!?」
 嶺「上がってる? 事実しか言ってないんだけど」
 結歌「上がってる! めちゃくちゃ上がってるよ!」


 モノローグ:やはり嶺くんの感覚は少し……いや、だいぶ人とズレているらしい。


 「コント?」「漫才?」というコメントをみて結歌は咳払いを一つした。


 結歌「……期待に応えられるか分からないけど、歌うことは大好きです。だから聞いてくれたら嬉しいです」



 <楽しそうに歌を何曲か歌う結歌>

 全身で楽しんでいるというのが伝わり、コメント欄を魅了していく。
 最後に嶺とデュエットして盛り上がり、歌い終わると楽しそうにハイタッチする二人。


 (<時間経過の合間のコマに、動画を見ている老女のカットと、派手な女性のカット(※顔は暗くして描かない)を入れる>※次話の展開の伏線)

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