ユーレイくんとの恋はあぶない秘密が多すぎる
○バイトからの帰り道(パーカーにパンツのラフな格好)
結歌「はあ~。今日も忙しかった~」
バイトでのことを思い出し苦笑いを漏らす結歌。頬を軽く叩き気合を入れ直す。
結歌「さて、じゃあ今日も練習してから帰りますか!」
夜道を歩いて公園に出る。
モノローグ:ここは歌の練習ができる広場だ。本当はカラオケ店、スタジオで練習ができたらいいのだけど、節約のためにここで練習している。(家は防音上難しいしね)
野外なのはネックだけれど、治安もいい場所なので大丈夫だろう。
ポップな曲調の音楽を流し歌いだす結歌。
モノローグ:幽日野くんに言ったように、あたしは歌手を目指している。その夢を諦めるつもりなんてない。でも問題が一つ――
ちらりと物陰に目をやると、黒いモヤのようなものが伸びてきていた。
結歌(やっぱり今日も出てくるかぁ。歌い始めるとすぐに寄ってくるんだよね……)
モノローグ:夢を叶える大きな障壁、それがこの黒いモヤだ。これが何かはわからないけど、近づかれるとすっごく苦しくなって歌どころじゃなくなってしまう。
結歌(普通の人には見えないみたいだし、こんなのに悩んでいるなんて誰にも言えるわけない。……ということで、まとわりつかれる前に退散退散!)
置いてあった荷物を掴み逃げの一手を打つ結歌(慣れた感じで猛ダッシュ)
○おばさん宅の近くの小道
結歌「あ~~~も~~~! しつっこい!」
息を切らした結歌が後ろを見ると、黒いモヤはまだ付いてきていた。
後ろばかりを見ながら走っていると、曲がり角で人に気が付かずにぶつかってしまう。
結歌「きゃっ!」
男性「うわ!?」
二人で倒れこむ。
結歌「うそ、ご、ごめんなさ……っ!」
謝る暇もなく黒いモヤに追いつかれてしまい、まとわりつかれてしまう。
結歌(う……い、息が)
男性「うわっ、大丈夫?」
ぶつかった男性が驚いた声を上げ結歌の肩を払った。すると苦しかったのが嘘のように息ができるようになる。
驚いて見上げると背の高いお兄さんが手についた黒いモヤを払っているところだった。
結歌「あ、あの……」
結歌の困惑した声に気が付き振り返るお兄さん。(ゆるいニュアンスパーマのかかった短めのグレーの髪と、かき上げ風にされた前髪から覗く切れ長の赤茶色の目と細めのたれ眉がとんでもない色気を醸し出すイケメンさん)
男性「キミ、大丈夫だった? なんか変なのに憑かれているみたいだったけど」
結歌「え、あ、え……? み、見えて……?」
男性「ん? ……あぁ、オレ昔からああいうの見えるんだよな。ちょっとした奴なら追い払えるし。もしかしたら神社暮らしだからかも」
結歌「神社……? もしかしてこの坂の上にある?」
いつも賑わっている神社を思い浮かべる結歌。
男性「そうそう。知っているなら話は早いや。あのモヤまだ様子見ているみたいだし、一旦神社寄っていったら? たぶん神社にもよりつけないと思うし」
男性が指を指す方向には近寄ってこれないのか、遠巻きにふよふよしているモヤがいた。男性が離れたらまた近寄ってきそうな雰囲気。
結歌「――それじゃあ、お言葉に甘えて……」