ユーレイくんとの恋はあぶない秘密が多すぎる
○時間経過・神社の鳥居の下
男性「――よかった。もう諦めたみたいだね」
結歌「本当ですか! よかった……」
警戒するように鳥居の外をキョロキョロする男性と、ほっと胸をなでおろす結歌。
結歌「あの! 見ず知らずの自分を助けてくださってありがとうございました」
男性「やだな。クラスメイトを助けるのは当然でしょ?」
結歌「え?」
男性「分からない? オレだよ、オレ」
前髪を降ろすと見覚えのあるシルエットが。思わず指をさしてしまう。
結歌「ま、まさか――幽日野くん!? うそ、なんで!?」
テンパる結歌にまた笑みを零す嶺。
嶺「なんでって、ああ、恰好のこと? あっち(もっさりver)の方が眼鏡と前髪で目が隠せるから、疲れにくくていいんだよね。オレ、目が良すぎるから」
モノローグ:幽日野くんは昔からああいうよくわからないものを見ていたらしい。昔は普通は見えないものだと理解できず、いろいろと苦労したのだとか。
嶺「というか結歌ちゃんさ、ああいうのにずっとまとわりつかれてたの? 学校でちらっとモヤみたいなの見かけたんだけど……」
結歌「うそ、学校にいた!? 昔は四六時中付き纏われていたんだけど、ここ最近は歌っているときだけ寄ってくるから気がつかなかった……」
嶺「そうなんだ。じやあ負の感情が減ったのかな? でも歌うときだけって……もしかして歌うときに『寂しい』とか『悲しい』とか思ってたりする?」
結歌「どうして……」
ドキリとする結歌。
嶺「ああいうのって、そういう感情に寄り付きやすいからさ。歌うときだけってことは、歌にそう思っちゃう理由があるのかなって」
モノローグ:思い当たる節はある。でもそれを幽日野くんに打ち明けるのは……
嶺「――何か訳ありみたいだね。オレで良ければ相談に乗るけど。ああいうのじゃ相談できる人も限られるだろうし」
結歌「幽日野くん……(確かにこんなこと、他に相談もできないかも……)」
戸惑う結歌だったが、ぐっと覚悟を決めた顔になる。
結歌「……幽日野くんの言う通り、歌っていると寂しいって思っちゃうの。……あたしの家族、皆音楽が大好きだったんだ。お母さんが曲を作って、お父さんが演奏して、あたしが歌う。そんな感じでワイツベにもあげていたんだよ。でも5年前、事故で……」
思い出すようにぎゅっと目を閉じる。
結歌「歌うとさ、楽しかったときの記憶が浮かんじゃって。……でも今は一人だから……どうしても寂しいって思っちゃうの」
モノローグ:あの黒いモヤは、そんなあたしの心を見抜いているのかもしれない。
気まずい沈黙が流れ、耐えきれなくなった結歌は明るく笑い、ごまかそうと口を開く。
結歌「――なんて、こんな話されても困っちゃうよね! 気にしないで!」
嶺「でも歌手になりたいって……」
結歌「それはそうだけど……まあ何とか克服するよ! 絶対にあきらめないつもり!」
嶺「……どうしてそこまで?」
結歌「――お父さんとお母さんがね、あたしの歌は誰かを元気にする力があるって言ってくれたの。もちろん親の贔屓目だってことも分かってる。でもあたしの名前……“結歌”はね、歌が素敵な縁を結んでくれるようにって願ってつけられたんだって」
モノローグ:両親の願いが込められた名前。あたしはこの名が大好きだ。
結歌「だから歌手になって、いろんな人を元気にできる歌を届けたい。……あたしのことを信じてくれた、愛してくれた両親が誇れるような人になりたいんだ!」
にっこりと笑って胸を叩く。
結歌「その為なら何だってできるもん!」
嶺「そっか。やっぱりキミは素敵な人だね。――分かった。オレも協力するよ」
結歌「え?」
疑問に思い嶺を見ると、嶺は静かに歌いだした。
結歌(……この声!?)
歌い終わり結歌を見ていたずらに微笑む嶺。結歌は何も言えず驚愕の表情を浮かべている。
嶺「その反応だと気が付いたみたいだね。そう、ワイツベの歌い手zeroはオレだよ」
結歌「え、なっ、ええ!? ど、どうして……!?」
嶺「だって秘密を聞いちゃったわけだし、オレの秘密も教えたほうがフェアかなって」
結歌「そんなに簡単に教えて大丈夫なものなの!?」
嶺「キミになら大丈夫。そんなことより聞きたいことあるんだけど……。結歌ちゃんさ、さっきワイツベに投稿していたって言ってたよね。もしかして『サラサラチャンネル』のyukaちゃんだったりする?」
結歌「!! な、え、なんで知って!?」
大パニックの結歌にクスクスと笑う嶺。
嶺「やっぱりそうだったんだ。オレさ、君の大ファンだったんだよね。同い年ですごい歌のうまい子がいるなって思って動画見てたんだ。だからある日突然更新されなくなって、すごく悲しかった。もう一度あの歌を聞きたいって、ずっと思ってたんだ」
そっと結歌の手を取る。
嶺「だからキミが歌えるようになるまで、オレが協力する。オレの傍にいればモヤは寄ってこないから練習もできるし、一緒にいれば寂しいって気持ちも薄れると思うからさ」
結歌「で、でも迷惑じゃ」
嶺「これはオレにとってもメリットのある話だよ。だってもう聞けないと思っていた推しの歌を間近で聞くことができるんだからね! 結歌ちゃんは歌手の夢に近づける。オレは贅沢に生歌を聞ける。Winwinでしょ」
結歌「え、ええ?」
結歌(い、いいのかなぁ? ……でも正直助かる提案なのも事実だし)
しばらく悩んだ後、決意の表情になる結歌。
結歌「――なら、よろしくお願いします」
嶺「ほんと? よかった。なら今から彼氏彼女ってことで、よろしくね!」
結歌「……え? 何て?」
嶺「ん? だから彼氏、彼女。恋人になるってこと」
結歌「……え。えええええ!?」
男性「――よかった。もう諦めたみたいだね」
結歌「本当ですか! よかった……」
警戒するように鳥居の外をキョロキョロする男性と、ほっと胸をなでおろす結歌。
結歌「あの! 見ず知らずの自分を助けてくださってありがとうございました」
男性「やだな。クラスメイトを助けるのは当然でしょ?」
結歌「え?」
男性「分からない? オレだよ、オレ」
前髪を降ろすと見覚えのあるシルエットが。思わず指をさしてしまう。
結歌「ま、まさか――幽日野くん!? うそ、なんで!?」
テンパる結歌にまた笑みを零す嶺。
嶺「なんでって、ああ、恰好のこと? あっち(もっさりver)の方が眼鏡と前髪で目が隠せるから、疲れにくくていいんだよね。オレ、目が良すぎるから」
モノローグ:幽日野くんは昔からああいうよくわからないものを見ていたらしい。昔は普通は見えないものだと理解できず、いろいろと苦労したのだとか。
嶺「というか結歌ちゃんさ、ああいうのにずっとまとわりつかれてたの? 学校でちらっとモヤみたいなの見かけたんだけど……」
結歌「うそ、学校にいた!? 昔は四六時中付き纏われていたんだけど、ここ最近は歌っているときだけ寄ってくるから気がつかなかった……」
嶺「そうなんだ。じやあ負の感情が減ったのかな? でも歌うときだけって……もしかして歌うときに『寂しい』とか『悲しい』とか思ってたりする?」
結歌「どうして……」
ドキリとする結歌。
嶺「ああいうのって、そういう感情に寄り付きやすいからさ。歌うときだけってことは、歌にそう思っちゃう理由があるのかなって」
モノローグ:思い当たる節はある。でもそれを幽日野くんに打ち明けるのは……
嶺「――何か訳ありみたいだね。オレで良ければ相談に乗るけど。ああいうのじゃ相談できる人も限られるだろうし」
結歌「幽日野くん……(確かにこんなこと、他に相談もできないかも……)」
戸惑う結歌だったが、ぐっと覚悟を決めた顔になる。
結歌「……幽日野くんの言う通り、歌っていると寂しいって思っちゃうの。……あたしの家族、皆音楽が大好きだったんだ。お母さんが曲を作って、お父さんが演奏して、あたしが歌う。そんな感じでワイツベにもあげていたんだよ。でも5年前、事故で……」
思い出すようにぎゅっと目を閉じる。
結歌「歌うとさ、楽しかったときの記憶が浮かんじゃって。……でも今は一人だから……どうしても寂しいって思っちゃうの」
モノローグ:あの黒いモヤは、そんなあたしの心を見抜いているのかもしれない。
気まずい沈黙が流れ、耐えきれなくなった結歌は明るく笑い、ごまかそうと口を開く。
結歌「――なんて、こんな話されても困っちゃうよね! 気にしないで!」
嶺「でも歌手になりたいって……」
結歌「それはそうだけど……まあ何とか克服するよ! 絶対にあきらめないつもり!」
嶺「……どうしてそこまで?」
結歌「――お父さんとお母さんがね、あたしの歌は誰かを元気にする力があるって言ってくれたの。もちろん親の贔屓目だってことも分かってる。でもあたしの名前……“結歌”はね、歌が素敵な縁を結んでくれるようにって願ってつけられたんだって」
モノローグ:両親の願いが込められた名前。あたしはこの名が大好きだ。
結歌「だから歌手になって、いろんな人を元気にできる歌を届けたい。……あたしのことを信じてくれた、愛してくれた両親が誇れるような人になりたいんだ!」
にっこりと笑って胸を叩く。
結歌「その為なら何だってできるもん!」
嶺「そっか。やっぱりキミは素敵な人だね。――分かった。オレも協力するよ」
結歌「え?」
疑問に思い嶺を見ると、嶺は静かに歌いだした。
結歌(……この声!?)
歌い終わり結歌を見ていたずらに微笑む嶺。結歌は何も言えず驚愕の表情を浮かべている。
嶺「その反応だと気が付いたみたいだね。そう、ワイツベの歌い手zeroはオレだよ」
結歌「え、なっ、ええ!? ど、どうして……!?」
嶺「だって秘密を聞いちゃったわけだし、オレの秘密も教えたほうがフェアかなって」
結歌「そんなに簡単に教えて大丈夫なものなの!?」
嶺「キミになら大丈夫。そんなことより聞きたいことあるんだけど……。結歌ちゃんさ、さっきワイツベに投稿していたって言ってたよね。もしかして『サラサラチャンネル』のyukaちゃんだったりする?」
結歌「!! な、え、なんで知って!?」
大パニックの結歌にクスクスと笑う嶺。
嶺「やっぱりそうだったんだ。オレさ、君の大ファンだったんだよね。同い年ですごい歌のうまい子がいるなって思って動画見てたんだ。だからある日突然更新されなくなって、すごく悲しかった。もう一度あの歌を聞きたいって、ずっと思ってたんだ」
そっと結歌の手を取る。
嶺「だからキミが歌えるようになるまで、オレが協力する。オレの傍にいればモヤは寄ってこないから練習もできるし、一緒にいれば寂しいって気持ちも薄れると思うからさ」
結歌「で、でも迷惑じゃ」
嶺「これはオレにとってもメリットのある話だよ。だってもう聞けないと思っていた推しの歌を間近で聞くことができるんだからね! 結歌ちゃんは歌手の夢に近づける。オレは贅沢に生歌を聞ける。Winwinでしょ」
結歌「え、ええ?」
結歌(い、いいのかなぁ? ……でも正直助かる提案なのも事実だし)
しばらく悩んだ後、決意の表情になる結歌。
結歌「――なら、よろしくお願いします」
嶺「ほんと? よかった。なら今から彼氏彼女ってことで、よろしくね!」
結歌「……え? 何て?」
嶺「ん? だから彼氏、彼女。恋人になるってこと」
結歌「……え。えええええ!?」