初恋リスタート
土日の休みは食料の買い出しをする以外は、休養に充ててほとんど終わり。

同じ仕事をしていても、映画に行ったり、推し活をしたりとエネルギッシュな人もいるのに、私は絶対に無理だ。

体力つけないとな……。

理学療法士は、病気やけがなどで体が思うように動かせない人に、立ったり歩いたりといった基本的な運動機能の回復を目的とするリハビリテーションを行う。

そのため筋肉の構造や体の効率的な動かし方などは専門分野なのに、自分の体はうまく使えていない気がして残念だ。

しかも、週の終わりの金曜となると体力がゼロに限りなく近くなる。


重い足取りで職員玄関を目指して歩いていると、製薬会社、もしくは医療機器メーカーの営業だろうか、営業カバンを持った背の高いスーツ姿の男性とすれ違った。

コツコツと革靴の音を立てて颯爽と歩く姿に、私の背筋が伸びる。


シャキッとしないとね。

反省して少し進むと、床の上に書類が落ちていたので拾い上げた。


「これ……」


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