私が好きになったのはどっちなの?
6,昔の同僚
「多分、寝てるだろうな」
 ボソッと呟きながら樹の部屋のインターホンを鳴らすが、反応がない。仕方ないので鍵を使って中に入る。お互い部屋の鍵は持っていて、割と自由に出入りしている。
 時刻は午前五時半過ぎ。
 スタスタと寝室に行くと、案の定樹は寝ていた。
「樹、起きろ。釣りに行くぞ」
 布団を剥がすと、樹がムクッと起き上がった。
 基本、仕事以外ではいつもボーッとしている。
「ああ。そっか。釣り……」
 寝ぼけつつも樹は服を着替え始める。
 好きな釣りじゃなければ、まだベッドで寝ているかもしれない。
 準備をして部屋を出ると、俺の車に乗った。
 樹も車を持っているが、ふたりで出かける時は俺が車を出す時が多い。
「土方は?」
 樹が欠伸をしながら聞いてきて、「昨日飲みすぎたからキャンセルするってさ」と返した。
「あれ? それで誰と行くんだっけ?」
 樹が今日のメンバーを確認してきて、淡々と告げる。
「花梨ちゃんと渡辺さん」
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