私が好きになったのはどっちなの?
 ちゃんと寮の前で待っていてくれてよかった。
 ドアを開けて花梨ちゃんたちが入ってきて、後部座席に座る。
「「おはようございます」」
 ふたりの挨拶を聞いて、樹はうっすら目を開けた。
 俺が花梨ちゃんたちに「おはよう」と言えば、樹も後ろのふたりに目をやって挨拶する。
「……おはよう」
 樹は相変わらずマイペースだが、花梨ちゃんたちは緊張した面持ち。
「あの……土方先生はいないんですか?」
 車内を見て、花梨ちゃんが今にも消えそうな声で聞いてくる。
「ああ、あいつ昨日飲み過ぎたらしくて来れなくなった」
「そうなんですね」
 俺の返答に、彼女が小さく相槌を打つ。
 まあ、土方がいない方が花梨ちゃんにはいいかもしれない。
 そもそも今回の釣りは彼女が樹に慣れるために企画したんだから。
「二時間くらいかかるからふたりとも寝てていいよ」
 朝早いからそう声をかけるが、花梨ちゃんも渡辺さんも同じタイミングで返す。
「「そんな寝れないですよ」」
 声もシンクロしてるし、おもしろい。
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