私が好きになったのはどっちなの?
 花梨ちゃんは気持ちを切り替えたのか、もうふたりの方に目を向けず、釣りに集中しだした。
 花梨ちゃんを気にかけながら俺も釣りをしていると、彼女も俺も同時に魚がかかった。
 お互い難なく釣り上げて、隣にいる花梨ちゃんに微笑む。
「花梨ちゃん、やるね」
 経験者だけあってリールの巻き方もうまい。
「先生こそ」
 彼女の目がキラリと光るのを見て、提案した。
「何匹釣ったか競争する?」
「受けて立ちます」
 俺をじっと見て頷く花梨ちゃんを見てホッとする。
 樹が渡辺さんに構っているから、楽しめないのではないかという不安があった。
 だが、やっぱり彼女はそんな弱い子じゃない。
「じゃあ、勝った方はなにかひとつお願いできることにしよう」
 そんな取り決めをするが、彼女は臆せずのってくる。
「いいですね」
 ニヤリとする彼女がキラキラ輝いて見えた。
 ふたりで競い合い、俺も彼女も好調に釣り続けていたが、お昼に近づくと彼女が釣れなくなった。
 もうちょっとやって釣れなければ彼女のルアーを変えるか。
 そう考えていたら、花梨ちゃんの竿に大きな当りがきた。
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