私が好きになったのはどっちなの?
 大物のようですぐには釣れない。まさに魚と格闘していた。
 俺もつい熱くなって声をあげてアドバイスする。
「焦るな。粘れよ」
 無理をすれば糸が切れるか、バラしてしまう。
「わかってます」
 花梨ちゃんも強く返してリールを巻きながら踏ん張る。
 だが、彼女も疲れてきて俺も加勢し、彼女の竿を支えた。
「ほら、しっかり巻けよ」
 俺が手を貸して花梨ちゃんが少し驚いた顔をしたが、すぐに「はい」と返事をして慎重に魚を釣り上げた。
「やった! 蓮先生、釣れました!」
 飛び上がってはしゃぐ彼女を見ていると、俺も自然と笑顔になる。
「よくやった」
 手を出してハイタッチを要求すれば、彼女が笑みをこぼしながらバチンと勢いをつけて叩いてくる。
 樹も魚に反応してかこちらにやって来て、スマホで花梨ちゃんと魚の写真を撮った。
「おっ、大物じゃないか。これは五十センチ超えてるな」
 これで少しは花梨ちゃんに興味を持ってくれただろうか?
 お昼は釣り場の中にある施設でバーベキューを食べることになり、樹と花梨ちゃんに魚の下処理をお願いする。
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