私が好きになったのはどっちなの?
 ルカ先生に即否定されたけど、反論した。
「え? だって、髪の毛黒くて、メガネかけてますよ」
「蓮はドイツに来た時は髪が黒くて、メガネかけてた」
 ルカ先生の話に驚かずにはいられなかった。
 蓮先生も髪が黒くて、メガネかけてた?
「ああ。そういえば昔は蓮くんもメガネで髪も黒かったのよねえ。だから、どっちが蓮くんでどっが樹くんかわからなくて、よく間違えたわ」
 昔を懐かしむように麻里さんが言って、あまりの衝撃を受け呆然とした。
 そっか。そうだよね。
 蓮先生、日本人だもの。今の明るい茶色の髪は染めているはず。
 それに本人も普段はコンタクトで家ではメガネとか言ってたじゃないの。
 あれ? じゃあ、私が樹先生と思ってたのって蓮先生だったってこと?
 だから、樹先生に昔救急で診てもらった話をしても反応が薄かった?
 ああ~、でも蓮先生は脳神経外科医。
 でも、待って。バス事故で救急が別の科の医師に応援を頼んでいたのだとしたら?
 あの時は野戦病院のような状況だった。
「じゃあ、乾杯しよう」
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