私が好きになったのはどっちなの?
「いや、全然」
 蓮先生がお弁当を食べながら答えると、樹先生は「じゃあ」と言って私と蓮先生の間に座る。
 きゃー、樹先生が隣に座ってる!
心の中で悲鳴を上げる。
 樹先生とは挨拶以外の言葉を交わしたことがない。多分五年前私の処置をしてくれたことなど覚えていないだろう。
 救急医だったからか、先生に治療してもらったのは事故に遭ったあの日だけだった。
 それでも一日たりとも彼のことを忘れたことはない。
 足が元に戻るか不安だった私を彼は元気づけてくれた。
 先生のお陰でリハビリも頑張れたし、こうして看護師にまでなれたのだ。
 お礼を言いたいけど、男性と話すのは苦手で今こうして横にいても身体が固まっている。
 それにしても……樹先生、お昼はそれだけですか?
彼が手に持っているのは、売店で売ってるサンドイッチだけ。
 あ~、本人に聞きたいけど、聞けない。
「樹、昼飯それだけ?」
 蓮先生も私と同じことを思ったようで躊躇なく尋ねると、樹先生は大口を開けてサンドイッチにかぶりつきながら答える。
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