私が好きになったのはどっちなの?
「ああ。どうせすぐ呼び出されるから」
「救急医は大変だね」
 他人事のように言う蓮先生を横目で見ながら樹先生が返す。
「脳神経外科医だって長時間手術室籠もるんだから大変だよ。そっちの看護師はお前んとこの?」
 不意に樹先生がチラリと私に目を向けたものだからドキッとした。
 い、今、目が合っちゃった。
 あ~、樹先生ってやっぱりクールで素敵。
「そう。うちの新人の水森花梨ちゃん」
 蓮先生がニコッとしながら私を紹介したので、慌ててペコリと頭を下げた。
「み、水森です。よろしくお願いします」
 あー、恥ずかしい。緊張で噛んじゃったよ。
「蓮、うちの病院で看護師口説くなよ。修羅場はゴメンだから」
 少し目を細めて樹先生が注意すると、蓮先生はフッと微笑しながら答える。
「わかってるよ。信用ないな。それに花梨ちゃんは真面目でいい子だから俺にはなびかないよ」
「それは貴重な人材だな」
 淡々とそんな感想を述べながら樹先生はサンドイッチを口にする。
「だろ?」
 蓮先生が横目で私を見てニヤリとするが、私はふたりの会話に入っていけなかった。
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