私が好きになったのはどっちなの?
 安心させるように頭をポンポンと叩く。
 再会してからも彼女から目が離せなかった。
 守りたい。大事にしたいって気持ちが心から溢れてくる。
 だから……誰にも渡したくない。
 不意にタクシーに乗る間際ルカが言った言葉を思い出す。
『好きだから他の男に触れられたくないんじゃないのか?』
 ああ……俺は花梨ちゃんが好きなんだ。
 ルカにも誰にも触れさせたくない。
 だが、彼女が好きなのは樹だ。
 そう考えて、胸がズキズキと痛んだ。


「……なんで? え? なんで蓮先生と寝てるの? ……うっ、抜けられない」
 花梨ちゃんの声が聞こえる。
 頭は起きたが、なんだか起き上がるのが億劫で彼女の背中に手を回したまま寝ていた。
 人の体温が心地よくて動きたくない。
「ど、どうしよう……」
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