私が好きになったのはどっちなの?
 ハッと目を開けて力を緩めると、彼女がケホッと咳をして俺と目を合わせてくる。
「蓮先生、寝ぼけてないで起きてください。本当に遅刻しますよ」
「だから?」
 目と鼻の先に彼女の顔。
 花梨ちゃんの腕をベッドにしばりつけるように押さえると、彼女が大きく目を見開いてゴクッと息を呑み込んだ。
「だからって……遅刻はダメです。早く起きてください」
 チラリと時計を見れば、午前七時を回ったところ。
 うちから病院に行くなら、まだまだ時間がある。
「大丈夫。遅刻しないよ。せっかくだからレッスンしようか?」
 俺の提案を彼女は首を左右に振って断る。
「い、いや、今はいいですよ」
 一刻も早く俺が離れることを望んでいるようだが、彼女への気持ちを自覚したこともあって逃したくなかった。
「昨日、樹をうまく誘えたの?」
 進展を尋ねれば彼女がちょっと気まずそうに俺から少しずつ目を逸らす。
「とりあえずカフェで声をかけて隣の席には座れましたよ。二言くらい喋って……」
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