私が好きになったのはどっちなの?
「それで終わり?」
 釣りに行ったし、もうちょっと話せたのではないかと思ったが、やはり樹が相手では難しかったか。
 落胆はしていない。むしろ安堵している自分がいる。
「……はい。私だって頑張りましたよ。……精一杯」
 俺の機嫌を伺うように花梨ちゃんが必死に言い訳する。
「次のステップが必要だ」
強くそう言い張れば、彼女が戸惑いながら聞き返してくる。
「次って……?」
「ボディタッチだよ。相手に触れて距離を縮める」
いつもの調子で言うが、彼女は全力で拒否する。
「そんなの無理ですよ! 触れるなんて」
「あのさあ、子供の恋じゃないんだ。大人の恋で大事なのはスキンシップだよ」
 誘惑するように花梨ちゃんの頬に触れば、彼女がハッとした表情で俺を見つめてくる。
「今、ドキッとしたでしょう?」
「そ、それはビックリしたからです!」
 俺の言葉に反論するが、動揺しているのかつっかえた。
「そうかな? 今度は花梨ちゃんが俺に触れてみて」
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