私が好きになったのはどっちなの?
「だから、違いますって」
 顔がカーッと熱くなるのを感じながら再度否定するけど、先生はスルーして話を続ける。
「あいつは色恋沙汰は苦手というか興味ないから、積極的にいかないと振り向いてくれないよ」
「先生……私の話聞いてます?」
 いつものように強く言えなくて小声で聞いたら、彼はなんでもお見通しと言った顔で告げる。
「ちゃんと聞いてるけど、俺から視線逸らして否定しても意味ないよ」
 ……ダメだ。人生の経験値の違いか、ごまかしがきかない。
「私は……女子校育ちだから、男の人と話すの苦手なんです。ひとりっ子だし、今まで彼氏もいたことないし……。樹先生に会いたくて看護師になったのにな。はぁ」
 ついに観念してそんな悩みを口にすると、彼は急に真剣な眼差しを向けてくる。
「樹に会いたくてって、学校の後輩にしては年離れてるけど?」
「昔、救急で樹先生が診てくれたんです」
 樹先生との出会いを思い出しながらそう返すと、蓮先生が私を見つめながら相槌を打った。
「へえ、じゃあ、本人にそれ言えば? 知ったら樹喜ぶと思うよ」
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