私が好きになったのはどっちなの?
突然、横からスマホの着信音がして、樹先生が「はい」と電話に出る。
「……わかった。今行く」
 スマホを耳に当てながらそう言って、樹先生はサンドイッチを一気に口に入れると席を立った。
「呼ばれたから……行く」
 もぐもぐと口を動かしながら言って、樹先生はこの場から立ち去る。
「救急ってやっぱり大変ですね。ゆっくり休憩する時間もない」
 私もできれば樹先生のいる救急に行きたかったけど、点滴が満足にできない今の私では足手まといになるだけだったから、最初から志望しなかった。
 いつかベテラン看護師になって樹先生をサポートしたい。
「まあね。ねえ、花梨ちゃんって、樹のこと好きでしょう?」
 蓮先生がジーッと私を見据えながら聞いてきて、その質問に激しく狼狽えた。
「え? 急になにを言ってるんですか?」
「だって樹のことじっと見てたし、今も顔ちょっと赤いよ」
 フフッと笑って彼が指摘するが、ブンブンと首を左右に振りながら否定する。
「そ、そんなことありません!」
「花梨ちゃんて嘘つけないよね? 動揺しまくり。好きならもっと話せばよかったのに」
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