私が好きになったのはどっちなの?
 ムスッと言って否定して手前にあったグラスを口に運ぼうとしたら、蓮先生に取り上げられた。
「だから、それ俺のウィスキー」
「あー、先生の意地悪」
「花梨ちゃん、酔ったでしょう?」
 蓮先生が私の顔を覗き込んでくる。
 相変わらず、保護者目線。私を女として見てくれることはないのかもしれない。
「酔ってませんよ」
 ムカついて素っ気なくそう返したものの、頭がボーッとしてきた。
 今日は寝ちゃいけない。
 そう思っても瞼が段々重くなる。
 気づいたら寝ていたようで、ルカ先生の声が聞こえた。
「俺、土曜にドイツに帰る」
「そうか」と蓮先生が小さく相槌を打った。
「蓮、教授には黙っていろと言われたが、もう長くはない」
「手は尽くしたのか……って、教授ならいろいろ診てもらったんだろうな」
 蓮先生の静かな声がして、ルカ先生が真剣に説得する。
「俺と一緒にドイツに行こう。教授もお前が戻ってくれば喜ぶ」
「だが、今はまだ戻れない」
「花梨が心配?」
 ルカ先生に問われ、蓮先生が柔らかな声で返す。

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