私が好きになったのはどっちなの?
 仕方なく了承したということだろう。
 蓮先生が私の頬に両手を添えてきて、心臓がドッドッドッと早鐘を打つ。
「緊張してるようだけど、無理してない?」
 確かに緊張はしているけど、先生は止める理由を探しているように見えた。
 まだ躊躇っているの?
「嫌だったらこんなお願いしません」
 笑顔で言いたいのに、私も必死なせいかどうしても拗ねるような口調になってしまう。
「それもそうか」
 先生は困ったように笑うと、私を見つめてくる。
 陽に当たると琥珀色に輝くミステリアスな瞳。
 いつだって私を優しく導いてくれた。
 最初の出会いは最悪だったのに、今は空に向かって叫んでしまいそうなくらい先生が好き。
 好きで、好きすぎて、おかしくなってしまいそうだ。
「花梨ちゃん」
 甘い声で名前を呼んで、彼が顔を近づけてくる。
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