私が好きになったのはどっちなの?
 自嘲気味に言って、先生が私の唇を親指の腹でそっとなぞる。
 それがもどかしかった。
 もっと唇で触れてほしい。
「先生……」
 名前を呼んでキスを強請ると、蓮先生が私の顎をクイと持ち上げてゆっくりと口づける。
 今度は先生に言われたわけではないけど、自然と目を閉じた。
 何度も唇を甘噛みされ、なにかが胸から溢れそうだった。
 唇を重ねただけなのに、心も身体も蕩けそう。
 それに、なんだか頭がふわふわしてきた。
 まだ酔ってるの?
「花梨」
 まるで恋人のように名前を呼ばれ、胸が熱くなる。
 ずっとこのままでいれたらいいのに……。
「蓮先生……」
 蓮先生の背中に手を回すと、彼も私を強く抱きしめてくる。
「……好き」
 知らず先生への思いを口にしてしまう。
 言ってはいけないのに、気づかなかった。
 頭もボーッとしていて、先生がどういう顔をしたのかわからない。
 そのまま身体から力が抜けていって、深い眠りに落ちていった。

< 189 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop