私が好きになったのはどっちなの?
 二週間前だったら、ドアを勢いよく開けて、『病院で破廉恥だ』って怒っただろうに、今はただただ胸が痛い。
 耳を塞ぎながらシャワー室を通りすぎ、ナースステーションに戻ると、いつものように業務を開始した。
 苦手な点滴も今日は成功して、たまたま通りかかったルカ先生に珍しく褒められる。
「俺の腕を犠牲にした甲斐があったな」
「本当ですね。ありがとうございました。ルカ先生今週まででしたね。土曜日にドイツに帰るんですよね? 腕だけでも置いておいてくれるとありがたいんですけど」
 悪戯っぽく笑ってそんな冗談を言うが、彼はスルーしてジーッと私を見据えてくる。
「昨夜、蓮となにかあった?」
 いつも以上に明るく振る舞っているはずなのに、なぜ気づかれてしまうのだろう。
「いえ、特になにもありません。あっ、でもまたお酒飲んで酔いつぶれちゃって、反省してます。先生にもご迷惑をおかけしました」
 笑顔でごまかすと、先生はそれ以上追及しなかった。
「いや、俺は別に。帰る前に俺からひとつアドバイスしてやろう」
「はい?」
 意外なことを言うから思わず変な声をあげてしまった。
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