私が好きになったのはどっちなの?
「な、なんで?」
「優希くんは知らないかもしれないけど、蓮先生はすごくモテるし、みんなに優しいの」
「でも、蓮先生も花梨ちゃんのこと好きだよ、きっと」
 優希くんの言葉を聞いて本当にそうだったらと思う。
 でも、そんなことは起こらない。
 先生にとって私は恋愛対象にならないし、先生は本気で女性を愛さない。
「先生はねえ、女たらし……ううん、博愛主義者なの」
 私の話を聞いて優希くんが首を傾げた。
「はくあい主義?」
 八歳の子に博愛主義は難しいか。
「えーとね、みんな平等に愛しちゃうの。おっ、時間だ。じゃあ、また来るね」
 言い直すと、時計をチラッと見て優希くんの病室を後にする。
 ナースステーションに戻ろうとしたら、シャワールームで男女がいちゃつく声が聞こえた。
「……先生、最近冷たくない?」
 拗ねるような女性の声がしたかと思ったら、よく知った声がする。
「別に冷たくなんかしてないよ。俺は女の子みんなに優しいからね」
 蓮先生……。
< 216 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop