私が好きになったのはどっちなの?
 頭の傷はそれほど深くない。
「脳震盪を起こしているのかもしれないな」
 機長をルカと抱えて客室に運ぶ。
 もう火の手はせまっている。ここで手当てをしている時間はない。
 顔に当たる空気が熱い。
 もう数分もいたらここも燃えてしまうだろう。
 まずルカが脱出スライドを滑り、俺も機長を後ろから抱きかかえて滑ると、彼や他の乗務員の手を借りて機長を安全な場所に運ぶ。
 消防車が何台も来て放水を始めたけど、火が収まる気配はない。
 機長の手当てをしていたら、乗務員がやってきて俺とルカに声をかけてきた。
「先生、他の乗客も見てもらえますか?」
 怪我人も結構いたようで、救急車が到着する間、俺とルカは機長や他の乗客の応急手当に追われた。
 十一時の飛行機でドイツに発つはずが、こんな事故に遭うとは想像もしていなかった。二時間近く乗客の手当てをし、機体の火もなんとか鎮火した。
「この人で最後かな?」
 俺がそばにいた乗務員に確認しながら、怪我人に包帯を巻いていく。
 応急処置を追え、重傷者は救急車に乗せて病院に送った。
 ジャケットは血だらけだし、顔もすすで汚れている。
 ルカと空港の建物に戻ってスマホをポケットから出したら、花梨ちゃんからメッセージが入っていた。
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