私が好きになったのはどっちなの?
 俺はもうドイツに行くとか、そんな些細なことを気にしている場合じゃない。
 ひょっとしたら二度と会えなかったかもしれないのだ。
 花梨ちゃんの額に自分の額をくっつけて自分の気持ちを伝える。
 もう誰にも遠慮することなく彼女を愛せる。
 自然な流れで口づけようとしたら邪魔が入った。
「盛り上がってるところ悪いが、俺もいるんだけど」
 ルカの声を聞いて、思わず舌打ちしたくなった。
 いいとこだったのにな。
 俺は抗議するようにルカい目をやったが、花梨ちゃんは急にルカやここが公衆の面前ということもあってみるみるうちに顔がトマトのように赤くなる。
「あっ……嘘」
「羨ましいからって不機嫌になるなよ」
 俺がルカにそんな嫌味を言うと、彼はムッとした表情で返す。
「不機嫌になってなんかない」
「はいはい。そういうことにしておくよ」
 軽く聞き流す俺にルカが、イライラした様子で言い放つ。
「そういう態度だとお前のスーツケース捨てる」
 ルカは両手にスーツケースを持っている。ひとつは俺のだ。
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