私が好きになったのはどっちなの?
 花梨ちゃんに言われて、気づく。
 ああ、俺は実はちゃんと誰かに俺だってわかってほしかったんだと思う。
 そして、今目の前に、俺だと見分けてくれる人がいる。
「もう俺と樹の見分けはついているんでしょ?」
「どうして?」
 花梨ちゃんが少し驚いた顔で聞き返してくる。さっきの花梨ちゃんの俺が好きだと言う告白で、はっきり確信した。
「俺がキスした時、レッスンだったはずなのに花梨ちゃんは俺の名前を呼んだから」
小さく頷いて先を促す彼女に理由を説明する。
「……ああ」
 自分でもわかっていたのか、彼女がちょっと恥ずかしそうに相槌を打つ。
「まあ、俺も本気でキスしちゃってレッスンとは言えなかったけど」
 樹を演じる振りをしても、やはり彼女が好きだという気持ちが出てしまった。
 さらっとそんな話をすれば、彼女が目を大きく開けて声をあげた。
「本気で……? それって……」
「花梨ちゃんが好きだから、いつの間にか本気でキスしてた」
 彼女が告白してくれたからというのもあるけど、死の危険も感じたせいか、言わずにはいられなかった。
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