私が好きになったのはどっちなの?
 それしか書いてなかったが、恐らくニュースで事故のことを知ったのだろう。
【ちゃんと生きてるよ。花梨ちゃんも無事に捕まえた】
 フッと笑いながら樹に返事を送ると、すぐに既読になった。
 弟にしては珍しい。だが、心配して俺の返事を待っていたに違いない。
 スマホをソファの前のテーブルに置き、窓の外の景色を眺める。
 昼間の事故が嘘だったかのように静かだ。
 だが、事故のお陰で気づかされた。
 花梨ちゃんを置いてドイツにはいけない。
 俺には彼女が必要だ。
 今後のことを考えていると、シャワーを浴び終えた彼女が現れた。
「お腹空いた? ルームサービス取ろうか?」
 今は午後五時過ぎ。
 お昼を食べる余裕なんてなかった。
 花梨ちゃんもあの騒ぎで食事はしていないはず。
「そうですね」
 花梨ちゃんが小さく笑って返事をして、彼女と一緒にソファに座り、メニューを見てルームサービスを頼む。
「そういえば、俺のことを好きなのはわかったけど、どうして急に予定変更して空港に来たの?」
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