私が好きになったのはどっちなの?
 俺の後に花梨ちゃんがついてきたけど、部屋に入ると彼女がドアの前で立ち止まった。
「先生……」
 今日はお酒を飲んでないし、ベッドを見て怖くなったかな。
「大丈夫。なにもしない。ただ、一緒にいたいだけなんだ」
寝室はふたつあったけど、やはり彼女から離れることはできなかった。
「あの手を……いいです」
 彼女が囁くような声で言うものだから、はっきり聞き取れなかった。
「え? なんて言ったの?」
 聞き返す俺に、彼女が顔を真っ赤にして言う。
「だから、手を出していいです」
 その言葉を聞いてハッと息を呑んだが、笑みを浮かべて彼女を呼んだ。
「花梨ちゃん、おいで」
 一歩ずつゆっくりと俺の元に来た彼女を優しく抱きしめる。
「無理しなくていいんだよ」
「無理してないです。蓮先生、私……心だけじゃなく、身体も先生とつながりたい」
「花梨ちゃん……」
「一緒にいるんだって安心したいんです。お願い……」
 彼女に懇願され、断れなかった。
 俺も同じ気持ちだったから。
「怖くなったら言って」
 花梨ちゃんの目を見て告げると、彼女の頭を掴んで口づけた。
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