私が好きになったのはどっちなの?
 本当にそう思っているのだろう。
 いつも冗談で私を弄ってくる時はその色気は大量放出するのに、今はなんだか保護者モード全開で優しい。
 ホッとしていいはずなのに、胸がチクッと痛む。
 私って……二十七なのに。まだまだ子供だ。蓮先生が大人だからって甘え過ぎ。
「あの手を……いいです」
 覚悟を決めて言うけど、女の方から誘うような発言にやはり抵抗があって声が小さくなる。
「え? なんて言ったの?」
 蓮先生が微かに首を傾げて聞き返してきたので、思い切って言う。
「だから、手を出していいです」
 もう恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
 はしたないこと言って、嫌われてない?
 それに、怖くて先生の顔が見れない。
「花梨ちゃん、おいで」
 俯いていたら優しい先生の声がして反射的に顔を上げると、彼が小さく笑って手招きする。
 その顔は私に幻滅しているようには見えなかった。
 温かく私を受けている様子だったので、少しずつ彼に近づく。
 先生の元へ行くと、彼が私を捕まえて、自分の膝の上に乗せる。そして、私を包むように抱きしめた。
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