私が好きになったのはどっちなの?
「無理しなくていいんだよ」
 いつだって先生は私の気持ちを優先してくれる。
 私が男女の関係になるのが怖いと感じているのだろう。
 未知のことだから怖い。
 でも、それよりも蓮先生にもっと近づきたいという気持ちが勝っていた。
 だって、一週間で戻るとはいえ、先生はドイツに行ってしまうし、戻って来ても一カ月後には本当にドイツに行ってしまって戻ってこない。
「無理してないです。蓮先生、私……心だけじゃなく、身体も先生とつながりたい」
 ここで引いちゃいけない。
 勇気を出して自分の思いを伝える。
「花梨ちゃん……」
 蓮先生はちょっと考えるような表情をしたので、続けて言う。
「一緒にいるんだって安心したいんです。お願い……」
 じっと私を見て、先生が真剣な眼差しで告げる。
「怖くなったら言って」
 逃げ道もちゃんと用意してくれるところが蓮先生らしい。
 こんなに優しい人、他にはいない。
 返事をしなくても私の思いは通じていたようで、彼が私に唇を重ねてくる。
 柔らかくて、温かくて、先生らしいキスだった。
 緊張が少しずつ解けていく。
 
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