私が好きになったのはどっちなの?
女の子を怒らせると厄介なことになる。実際、樹にチョコを受け取ってもらえなかった女の子が逆恨みして、樹の教科書をゴミ箱に捨てたことがあった。
樹は試験さえパスすれば問題ないと思っているが、群がってくる女をうまくかわせなければ、勉強に集中できなくなる。やはり俺の助けが必要だろう。
そんな懸念もあって、俺も樹と同じ医大を受けた。
母の死がきっかけで医者になったけど、研修で多くの科で経験を積むうちに、医者という仕事にのめり込んでいった。
特に研修で脳腫瘍の子供を看取った時、脳神経外科医になって自分の手で多くの患者を救いたいと思ったのだ。
だから、病院に男漁りに来るような看護師はいらない。
『ねえ先生、仕事が終わったら一緒に食事でもどうですか?』
香水の匂いをプンプンさせながら俺を誘う看護師。
『悪いけど、今日は会合があって無理だな。……それよりも距離感を間違っていないか?』