私が好きになったのはどっちなの?
「樹先生……好き」
 花梨ちゃんの声でパッと目が覚めた。
 あのまま寝たのか。一緒に寝るつもりはなかったのだが、心地よくてスッと寝てしまった。
 寝言も樹って……、そんなに樹が好きなのか。ホント、かわいいな。
 温かくて、優しい気持ちが胸の奥から込み上げてくる。
 チラリと時計を見ると、午前六時を回ったところだった。
 そろそろ起きないと。
 知らないうちに腕枕をしていたようで、彼女の頭を動かさないように左腕を抜くと、じんじんと痛かった。
「……いてっ」
 思わず声を出してしまったせいか、彼女が静かに目を開け、何度か瞬きをした。
「あっ、ごめん。起きた?」
 目が合ったかと思って咄嗟に謝ると、また目をパチパチさせる。
 できれば彼女が起きる前にベッドを出たかったが、そううまくはいかなかった。
 同じベッドで寝たと知ったら、驚きを越えて失神するかもしれないな。
 だが、どういう反応をするのか興味もある。
「花梨ちゃん?」
 名前を呼ぶと、彼女が目を大きく見開きながら恐る恐る聞いてきた。
「蓮先生……?」
 お、今度は樹と間違えなかった。
「おはよう」
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