私が好きになったのはどっちなの?
 だから……かな。花梨ちゃんは反応がかわいいし、おもしろいから、ついつい俺の方から構ってしまう。あと……やっぱりどこかで会ったような懐かしさを覚えて、気づけば彼女を見ているのだ。
 こういう純粋で真面目な子が、樹の隣にいてくれたら俺も安心だ。
 樹は頑なに女を避ける傾向にあるから、誰かが介入しないと結婚なんてしないだろう。かといって、グイグイ迫るような女は弟の嫁として不適格だ。
 やはり樹の幸せを考えても、ちゃんと弟を思ってくれる花梨ちゃんのような子がいい。
 花梨ちゃんも男性が苦手みたいだから、少しずつ男に慣れさせよう。
「……あふっ」
 花梨ちゃんの体温が心地よいせいか、だんだん眠くなってきた。
 本当に寝てしまう前にベッドを出たいが、まだ彼女の手はしっかり俺の背中に回されている。無理矢理外したら起こすかもしれないし、もう少し待ってみるか……。
 そう考えていたのだが、そのまま寝てしまい、気づけば朝だった――。
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