私が好きになったのはどっちなの?
 早く目覚めてほしい。
 渡辺さんとベッド周りをキレイにして、優希くんの身体を綺麗にすると、次の病室に行き、業務をこなしていく。
 一旦ナースステーションに戻って点滴の準備をしていると、樹先生が現れた。
 思わず作業をしていた手が止まる。
 そういえば、蓮先生に課題出されてた。
「渡辺、これ昨日入院した森優希くんの忘れ物。多分服のポケットから落ちたんだろうけど、ご家族に渡しておいて」
 ドアの近くにいた渡辺さんを呼んで、手に持っていたクマのキーホルダーを差し出す。
 あれ……? 樹先生、渡辺さんのことは呼び捨てにしてる。他の看護師さんにもそうなのかな?
「はい」
 渡辺さんが受け取ると、樹先生はどこか慣れた感じで話し出す」
「蓮先生って今日はいないんだっけ?」
「ええ。学会ですよ」
「そうか、蓮いないのか……」
 渡辺さんの返答を聞いて、樹先生はちょっとがっかりした様子で呟きながらナースステーションを後にする。
 あっ、挨拶するタイミング失っちゃった。
「蓮先生いなくて寂しそうでしたね」
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