私が好きになったのはどっちなの?
「看護師さんもいろいろ覚えることがあって大変だものね。いつでも来て。蓮くんの知り合いだからサービスするわ」
「はい。ありがとうございます。私も蓮先生のような頭と腕があればいいんですけど」
「蓮くん、人当たりいいし、なんでも器用にできちゃうけど、基本自分のことは放置で樹くんとか、周りのことばっかり考えちゃうの。だからね、花梨ちゃんが蓮くんのこと気にかけてくれるの嬉しい」
「私は先生がサボってたら、注意するだけですけど……あっ」
 サボるなんて言って失言だったかな?
 恐る恐る麻里さんに目をやるが、気にした様子はない。
「それでも叔母としては心強いわ。母親は亡くなっちゃったし、父親も蓮くんと樹くんの面倒なんてみなかったもの」
「父親って院長のことですよね?」
「そう。いろいろあるのよ」
「そうですか。大病院の御曹司だから何不自由なく育ってきたのかと」
 恵まれた環境で育ってきたのかと思ってたけど、蓮先生も苦労したんだ。
「あっ、この話したことは蓮くんに内緒にしてて」
 麻里さんが人差し指を唇に当てたので、「はい」と頷いた。
 
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