私が好きになったのはどっちなの?
「イチャイチャは仕事が終わってからやってください! 蓮先生、救急からオペの依頼です!」
 勢いよくドアを開ければ、白衣を着た超絶美形医師にどこかの美人看護師が抱きついている。
 医師の方は青山蓮、三十三歳。二年前までドイツの病院にいた脳神経外科医で、この『青山総合病院』の御曹司。彼はこの病院で女性看護師の人気を二分している医師だ。
 百八十センチを超える長身に、日本人離れした彫りの深い顔立ち。毛先がカールしたライトブラウンの髪は艶やかで、額を出したその顔は色気があって、それでいて知的さも感じられ、どこかミステリアスな雰囲気が漂う。
 医師というよりはモデルのように華やかな彼だが、ドイツで修行してきただけあって腕は超一流らしい。
 蓮先生、病院でなにをやってるんですか。
 美人看護師はハッとした顔で蓮先生から離れ、シャワー室を飛び出していく。
「花梨ちゃん、助かったよ。回診中だっていうのに離れてくれなくて」
「頬に口紅ついてます。随分とお楽しみだったみたいですね」
 スーッと目を細めてそんな嫌味を言えば、蓮先生は謎めいた微笑を浮かべ、私に問いかけながら頰の口紅を手で拭う。
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