私が好きになったのはどっちなの?
 なんだかずっしり重いし、リールを巻いても糸が伸びていく。
「焦るな。粘れよ」
 珍しく蓮先生が命令口調で言い、私も余裕がなくて「わかってます」と言い返す。
 数十秒格闘して、腕が疲れてきた。
 もうダメかも……半ば諦めかけた時、蓮先生が釣り竿を支えてくれた。
「ほら、しっかり巻けよ」
「はい」と返事をして巻いていくと、魚もようやく観念して見事釣り上げた。
「やった! 蓮先生、釣れました!」
 多分蓮先生が手を貸してくれなかったらバラしていただろう。
「よくやった」
 先生が手を出してきたので、私も嬉しくてハイタッチする。
 すると、樹先生が魚を見に来た。
「おっ、大物じゃないか。これは五十センチ超えてるな」
 パシャリとスマホで写真も撮ってくれて嬉しくなる。
 その後、お昼の時間になり、釣り堀の施設でバーベキューをすることになって、蓮先生が気を利かせて私と樹先生に声をかけた。
「花梨ちゃん、樹、魚の下処理してきて」
「はい」と笑顔で返事をして、流しで調理バサミを使って魚の下処理をする。
 な、なにか話さなきゃ……。
 そう思うが、話題が見つからない。
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