負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る
 とはいえ、それで終わらなかった。

 週明け、試験勉強して帰ろうとしたら、メイサが下駄箱から紙切れを取り出した。

 無表情でそれをポケットに突っ込もうとしたのを止める。

 俺を見上げる顔も無表情で、胸の奥が重い。

 先週の水曜からなんて、なんで言わねーんだよ、ばか。

 メイサの腕を引いて抱きしめる。

 メイサにどうこうしたいんじゃなくて、俺がしんどくて甘えたくて抱きしめた。

 温かくて、いい匂いがして、柔らかい。

 離したくない。

 このまま家に連れて帰りたい。

 それができないことくらい分かってるから、腕を離す。

 顔を上げたメイサはやっぱり無表情のままだ。


「じっと見られたら、気になっちゃうって言ってたでしょ? なる?」


 今、そんなこと言うなよ。

 そんな生易しいもんじゃないのに。

 俺のせいで嫌がらせされたんなら、もう二度とそんなことがないように、しまっておきたいくらいなのに。

 猫みたいな目が俺をじっと見てる。

 噛んでやりたい。

 たぶん、しても許されると思う。


「なるけど、それより……いや、今は止めとく。帰ろう」

「してくれていいけど」

「ばーか、10日早えよ」


 理性を振り絞って、最後にもう一度強く抱きしめて、体を離す。

 離れきる前に、やっぱり我慢できなくて、一瞬だけ顔を寄せた。

 メイサの鼻の頭にそっと触れて離れる。


「帰ろう。暗くなってきた」

「うん」


 やっとメイサが照れたような顔になって、無表情じゃなくなったことに安心する。

 歩き出そうとしたら、手を掴まれた。

 指を絡めて、駅に向かった。



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