負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る
 試験初日、ホームルームが終わったらすぐに昇降口に向かう。

 2、3年はもう1時間あるから、今は1年生しかいない。

 2年3組の下駄箱が見えるところに隠れる。

 スマホを構えたらすぐに女子が3人やってきて、紙切れを入れて立ち去った。


「……はー」


 紙切れを取り出して、動画の最後に映す。

 撮影を止めて、紙切れの写真を撮ったら終わり。

 教室にメイサを迎えに行って、午後は明日の試験勉強。

 帰りに靴を履き替えてきたメイサは何でもなさそうな顔してるけど、腕にしがみついてくる。


「頑張ったハニーにご褒美」

「飴だ、ありがと」

「はい、口開けて」

「あー」


 無防備な口に飴玉を放り込んだ。

 ……舌をねじ込みたいけど、我慢した。

 メイサはぽけっとした顔で飴を舐めてた。


「おいしい」

「そらよかった」


 夕陽に照らされて並んで歩く。


「今日で91日だ」


 なんとなく呟くとメイサが俺を見上げた。


「籐也」

「んー?」

「順位上がってたらご褒美ちょうだい」

「何が欲しい?」

「……昨日、しなかったやつ」


 それはどれを指してるんだろう。

 抱きしめて連れて帰って、俺だけのものにしたいと思ったことだろうか。

 それとも、キスしたかったけど日和って鼻で誤魔化したことかな。

 メイサは俺をどこまで許すんだろう。


「それ、順位下がってたらいらないんだ?」

「そ、そんなことない、はず」

「あはは、期待しとく」


 お前がどこまで受け入れてくれるのか。

 俺はきっと期待してる。


< 107 / 109 >

この作品をシェア

pagetop