負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

01月16日、金曜日

「うー寒い」


 夕方、校庭の水飲み場で手を洗ったら、あかぎれに染みて痛かった。

 手を拭いていたら、ホースを抱えた須藤が隣に並んだ。


「手えガサガサじゃん。ハンドクリームとか持ってねえの?」

「切らしちゃったんだ。買いに行かなきゃ」

「じゃあ、帰りドラスト寄ろう。それまでこれ使えよ」


 須藤はホースを置くと、ポケットからハンドクリームを取り出して渡す。


「こういうの、ちゃんと持ってるんだね」


 男の子って、こういうの面倒くさがるイメージ。

 颯も持ってないし。


「園芸部は水仕事が多いし、土いじりするから、すぐ肌荒れするんだよ。俺は家の手伝いもあるし」


 水道にホースをつなぐ須藤を見ながらハンドクリームを手に出す。

 匂いはほとんどしないけど、スルスル伸びて手がしっとりする。


「これ、いいね。手がすべすべになった」

「だろ? 家にあったいいやつだから」

「それ、使って怒られない?」

「前は言われてたけど、最近は小遣いから天引きされるようになった」

「ウケる」


 諦められてるけど、ちゃんと天引きするあたり、しっかりした親なんだな。

 須藤も小うるさいけどちゃんとしてるし。


「ちなみに値段は……」

「マジで!?」


 帰りに同じのをドラストで買おうと思ったけど、ムリだ。


「ま、言ってくれれば貸すから」

「え、いいよ、悪いよ、そんな高級品」

「メイサちゃんは38日経っても負け犬根性が染みついてるな。かわいくねだればいいのに」

「そういう問題じゃない……」


 だって、気軽に「貸して!」なんて言えない値段だし!

 こいつ、思ったよりお金持ちなんだな。
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